白黒とiMac

 本棚を整理すると、未視聴の映画が数枚出てきた。クラシックのモノクロ映画を本屋で安かったので、数枚買った覚えはあったが、タイトルは忘れていた。近日中に『市民ケーン』は視聴しようと思う。モノクロ映画は、祖父の家で『ローマの休日』を何回か観て以来、視覚情報とストーリーテリングの互いのバランス、明示的ではない描写が好みだった。以後DVDで、『吸血鬼ノスフェラトゥ』とチャップリンの『ガス灯』を、午前十時の映画祭で、黒澤明の『生きる』と『七人の侍』を、そしてhuluで『ゴジラ』(1954)、『ゴジラの逆襲』などを観た。こうして羅列してみると、意外と視聴しているような気がしなくもない。それにしても、午前十時の映画祭が今年で終了するのは残念だし、TOHOシネマズの鑑賞料金が値上がりするのは、如何だろうかと思う。

 

 そのなかでも、モノクロで製作された印象的な映画は小林啓一監督の『ももいろそらを』だ。『ももいろそらを』は、耽美的な作品であり、ストーリ然り、白黒でしか映しだせない、カラーにすると普遍的で一般的な邦画に消化されそうな、唯一無二の世界観を構築し、モノクロの世界でフィクションが保たれている作品だった。その後、小林監督の『逆光の頃』(カラー作品)を併せて視聴したが、こちらも大林宣彦イズムを感じられ、京都の静と動を画面上から享受できた佳麗なジュブナイル作品だった。カラー映画全盛の時代に、敢えてモノクロ映画を撮ることは、傍から見ればアート映画のように映ることはあると思案するが、効果的にグレースケールを用い、作品上に幾多の広がりを含ませることができる作品なら、今後も需要はあるに違いない。

                                         


 先日、iMacを購入した。といっても、中古でまだアルミボディではなく、デザインが以前から気になっていた筐体が白い2004-2006モデルではあるが、スペック的には申し分はないので、気に入って利用している。良い状態で格安で購入できたので、つくづくラッキーだったなと思う。とは言え、セキュリティー問題や、Webアプリケーションが使えない場合が多いので、Windowsマシンはまだ手放せない。光学ドライブがまだついていた時期なので、iTunesにCDを取り込むのは便利だなと思う。ディスクを入れる際に、いつか取り出せなくなるのでは、と不安になりながらCDの表面積8割を指の腹で押すと、ようやく吸い込みを始めるのは、少し怖いが面白いくて愛嬌があるなと思う。